収入や保険の加入はどうなる?非常勤講師の実態を紹介

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非常勤講師として勤務する場合、原則としてクラスの担任や部活動の顧問を担当することはなく、自分のために使える時間が多くなり、キャリアアップにもつながります。給与は定額払いや実働払いなどさまざまですが、学校によっては一定数以上のコマ数があれば私学共済に加入できる場合もあります。

非常勤講師の採用情報を見て、非常勤講師って一体どういう勤務形態なのだろうと気になったことはありませんか? 意外と自分が生徒だったころのぼんやりしたイメージしか持っていないという人も多いのではないのでしょうか。非常勤講師への応募について躊躇されている方への参考になればと思い、非常勤講師の勤務形態や収入・保険など、気になる点についてまとめてみました。

非常勤講師とは?

非常勤講師とは、その学校において契約した授業のみ担当する職種形態のことをいいます。基本的に授業時間のみの拘束となり、部活動の顧問やクラスの担任といった業務のほか、教務・進路指導・生活指導などの校務分掌についても担当しないことがほとんどです。毎日学校に行く必要はなく、授業がある日のみ勤務することになります。日々の業務がなく、自分のために使える時間が多いことは専任教諭と比較して非常に特徴的な点といえます。
自由になる時間を生かして、非常勤講師として勤務される方のなかには、他校や予備校などと非常勤講師の掛け持ちをされる方や、夕方以降に塾講師としても勤務されている方などもいらっしゃいます。教育関連以外のお仕事を別に持っておられる方も少なくありませんし、大学院生の方が研究のかたわら、非常勤講師として勤務されているというケースもあります。また、非常勤講師としての経験は教職経験として考慮されますので、将来のキャリアアップにもつながります。

気になる収入は?

非常勤講師と聞いてまず気になるのが収入だと思います。いくつかのパターンがありますが、代表的なものとして定額支給と実働払いがあります。

定額払いは、毎月「一コマあたりの単価×一週間あたりのコマ数×4週」の計算で支払われるものです。
例えば一コマの単価が3000円、週12コマの契約の場合、「3000×12×4=144,000」となり、14万4000円が毎月の給与となります(ここから所得税などが控除されます)。一方、実働払いは「一コマあたりの単価×1か月の間に行った授業の数」で計算されます。
定額支給と実働払いのほかに、コマ数に加えて週あたりの勤務日数を考慮に入れる(一週間のうちに学校に来る日が多いほど給与が増える)などの計算方法が採用されている学校もあります。後になって「思っていた金額と違う」というようなことのないように、よく確認しておくことが必要となります。また、これらの給与に加えて、学校によっては賞与や、各種手当などが支払われることもあります。

非常勤講師の交通費については実費払いが多くなっていますが、勤務日が多い場合は(もしくは勤務日にかかわらず)定期代に相当する額が支給される学校もあります。こちらもあらかじめ確認しておくことが必要です。

保険や確定申告などはどうなる?

非常勤講師として勤務する際、学校によっては一定数以上の授業時間を担当する場合に、私学共済への加入が認められるケースがあり、国民健康保険に比べて個人が負担する保険料が安くなることが多くなります。私学共済への加入が認められた場合は、年金についても厚生年金に加入でき、こちらも国民年金に比べて将来の支給額等でメリットがあるといえます(なお、私学の先生が加入する年金保険は、2015年度途中まで共済年金でしたが、現時点では厚生年金に変更されています)。
非常勤講師としてひとつの学校でしか勤務していない場合は原則として年末調整となり、確定申告は必要となりません。2校以上の学校で勤務している、または別の仕事をもっている場合には確定申告が必要となります。確定申告というと難しく感じられる人も多いと思いますが、給与所得だけの場合はそれほど難しい作業ではありません。書類については、勤務先から渡される源泉徴収票をもとに、国税庁のホームページ上で作成することができます。

非常勤講師はキャリアアップのチャンス

このように非常勤講師の雇用形態について見てきました。収入面などから不安を感じられる人も多いかもわかりませんが、将来のキャリアアップにつなげるために、また自分の時間を大切にするために、非常勤講師として勤務することを考えてみてはいかがでしょうか。