
思春期の中高生は恋愛にとても関心が高い反面、あふれる情報を取捨選択できず、間違った恋愛関係に陥ることも少なくありません。教師として保健体育や性教育の授業を通して正しい知識を生徒に身につけさせ、人間として成長を見守ることが、生徒の恋愛への望ましい関わり方かもしれません。
あふれる情報に左右されるイマドキの恋愛事情
近年の中高生は、男女ともに恋愛体質の子が増えていると言われています。早い子では小学生から、「○○くんが彼氏なの」と、特別な関係を意識することがあるようです。その背景には、携帯電話の普及によって、気軽に個別の交流ができるようになったこと、また、小中学生の間で読まれるファッション雑誌で恋愛の特集記事が多く組まれることなどが影響しているようです。子どもたちを取り巻く環境のなかに恋愛に関する情報があふれており、成長過程で興味を持つのは当然のことかもしれません。青春のピュアな世界を伝える少女漫画もあり、恋愛に憧れる女子生徒も少なくありません。しかし、恋愛が原因で生徒間にトラブルが生じやすいのも事実です。
スルーする?見守る?生徒の恋愛にどう関わる?
生徒の恋愛の舞台は、そのほとんどが学校生活にあります。聞き耳を立てなくても、生徒たちの恋愛事情が伝わってくるものです。特に生徒と年齢の近い若い教員には、生徒も親近感を抱きやすいことから、恋愛相談になることもあるようです。
そうした恋愛関係を知ったとして、教師が取るべき対応は状況によって異なるでしょう。生徒間のトラブルを招く原因として、普段から情報を収集し、積極的に関わる方法も考えられますが、深く関わりすぎることでトラブルが起こるリスクも考慮して行動しましょう。大人のアドバイスによって、生徒の恋愛が片思いで終わってしまったり、交際が終わったときに「先生のせいで」と責任転嫁されたりする場合もあるようです。恋愛は人間関係を学ぶ機会でもあり、失敗しながら成長していく生徒を見守ることが大切かもしれません。
一方で、生徒の恋愛について厳しい指導を行うこともあるでしょう。生徒指導として、男女交際について学校側の姿勢を明言している場合もあります。生徒の恋愛は、家庭と連携を図って指導し、行きすぎた行動に走らないよう注意を促しています。まだ10代という心と体のアンバランスな時期だからこそ、時には大人の立場から正しい道へ導いていくことが必要とされるのかもしれません。
ひとつの学びとしての「指導」
恋愛の問題が難しいのは、時に性の問題に発展するからです。未成熟な思春期だからこそ、自分の感情や欲求が抑えられずに、行動がエスカレートすることも少なくありません。このような問題を未然に防ぐ意味でも、教育現場では生徒に対して正しい性教育が必要でしょう。保健体育や家庭科など教科を通しての指導だけでなく、道徳や特別活動の時間を性教育の授業に利用するなど、クラス内での関係が増えれば増えるほど、伝える必要性も高まります。小・中・高と、それぞれの発達段階を踏まえて必要な知識はもちろん、エイズのような大きな課題については具体的な事例を伝え、自分自身や相手の性に対して正しく学ばせることも、ほかにはない教師ならではの恋愛へのかかわり方と言えるでしょう。
健全な成長を見守る
成長段階にある生徒たちは、時に恋愛で傷つき悩むこともあるでしょう。しかし、それが人としての成長にもつながるのは事実です。その一方で、生徒の心身を傷つけるようなトラブルや、健全な成長をさまたげるような事態を引き起こすようなことは、可能な限り避けなければいけません。学校生活での関わりのなかで、大切なことを生徒に伝えていくことは教師の役目。普段は、生徒の恋愛のあれこれは見て見ぬふり。でも、生徒のことを心にかけることを忘れない。これが教師の生徒の恋愛への望ましい関わり方かもしれません。
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