
教員の定年は60歳のところが多いが65歳までは継続雇用制度が整備されるようになっています。また、65歳以降も常勤講師・非常勤講師として勤務される方が多くいらっしゃいます。定年後の給与については昇給がないところが多く、給与面でも減額されることが多くありますが、長く働ける制度が充実していることは魅力であると言えます。
私学の教員の場合、定年は学校によって異なりますが、各校で事情はどのようになっているのでしょうか? また、その後の再雇用の事情など、なかなか知り得ない内容について、公表されている報告書も交えて見ていくことにしましょう。
定年の違い
公益社団法人私学経営研究会が発表している、「私学の賃金・有期雇用・定年・再雇用に関するアンケート調査報告書」(以下報告書)をもとに、私立の高等学校における定年の事情について見ていきます。報告書によれば、専任教職員の定年は、アンケートに回答した学校の約6割の学校で60歳となっています。これは公立学校と同様の水準であると言えます。続いて多い定年が65歳で、こちらはおよそ25%の学校であてはまっています。次いで63歳(約7%)、62歳(約5%)の順となっています(複数の定年制を採用している学校でも、60歳および65歳が区切りとなっていることが多くなっています)。また、これらの定年制に加え、選択定年制を一部または全教員に対して実施している学校もおよそ25%あります。このような学校では、前倒しで退職する際に退職金の割増制度が導入されていることが多いことがわかります。
定年が65歳未満の学校での再雇用
2004年、いわゆる高年齢者雇用安定法が改正され、65歳までの勤務について、1.定年の引き上げ 2.継続雇用制度の導入 3.定年制廃止のいずれかの実施が義務付けられるようになりました。また、2012年の同法改正によって、継続雇用については希望者全員が65歳まで勤務できる制度の整備が義務付けられるようになっています。学校においても例外ではなく、報告書からも定年が65歳未満の学校において、65歳までの定年延長や再雇用などの措置が取られるようになっていることがわかります。このうち、再雇用については多くが1年ごとの更新となっていますが、65歳までの自動更新となっている学校もあります。
65歳以上の再雇用
定年が65歳以上の学校の場合でも、法律上義務付けられているわけではありませんが、学校側と教員の意思が合致すれば常勤講師(またはそれに近い立場)で再雇用される制度が整備されている学校もあります。また、定年後に常勤講師ではなく非常勤講師として勤務されている方も多くいらっしゃいます。これらの規定は学校により異なりますが、70歳を越えて活躍されておられる先生も少なくありません。
再雇用の労働条件
学校によって事情は異なりますが再雇用の場合、業務内容が変化するところとしないところがあります。業務内容が変化しない場合は、いわゆる常勤講師と同じ雇用形態といえます。業務内容が変化する場合の具体的な例としては、「クラス担任を持たない」「部活動の顧問とならない」などの措置が講じられているところもあります。報告書からは7割の学校において再雇用の際には昇給がない形での勤務となることが読み取れますが、給与については明確な傾向が読み取ることができません。定年時の一定割合となるところや、その学校における常勤講師の規定に基づく給与となるところなど、学校によってさまざまな形になっているようです。
ここまで教師の定年について見てきました。60歳が定年となっている学校であっても65歳までの継続雇用制度が整備されており、またそれ以降についても自らのキャリアを活かして常勤講師・非常勤講師として勤務されている方が多くいらっしゃる現状は、教師を目指すみなさんにとって大きな魅力にうつるのではないでしょうか。