
教師の言葉かけは、子どもの意欲を喚起したり自信を持たせたりするため、とても大事な役割を担っています。表情を豊かにする、指示を少なくするなどの言葉かけの基本を知り、タイミングを逃さず、目線を同じようにして言葉かけをするとより効果的です。
子どもの指導において、教師の言葉かけはとても大事な役割を担っています。教師の言葉かけで、子どもの意欲を喚起したり自信を持たせたりします。教師の言葉かけの技を磨きましょう。今回は、小学校の教育現場を想定した言葉かけのノウハウをご紹介します。
言葉かけの基本を知る
言葉かけは、目の前の子ども一人ひとりをよく理解することが大切です。それを踏まえて、言葉かけの基本を紹介しましょう。
1. 表情を豊かにしよう
子どもは教師が自分のために真剣に叱っているのか、感情的に怒っているのかを直感的に感じることができます。
教師の温かいまなざしや心からのやさしい表情、真剣な表情、悲しい表情など、子どもに対する愛情から発する豊かな表情で言葉を発するようにしましょう。そうすることによって、子どもの心にしみいります。
2. 指示は少なく
教師は指導する立場なので、つい指示が多くなりがちです。指示はできるだけ少なくして、子どもをほめる、認める、励ます言葉をできるだけ多くするように心がけましょう。肯定的な言葉かけは子どもに自信を持たせ、成長につながります。
3. 個別に対応する
クラス全体に対してほめる、クラス全体に対して注意をするということは大事です。それにプラスして、一人ひとりの心に言葉が入り込むようにするには、個別に声をかけるようにするとよいでしょう。それによって、「私のことをきちんと見ていてくれる」という安心感を持たせます。
個別に対応するには、日々の指導記録をつけ、子どもの個別の記録をとっておくことが大切です。
4. よいことはみんなの前でほめる
よいことをほめるときには、みんなに聞こえるようにすると、周りの子もほめられたいとまねをして、クラス全体がよい方向に向かいます。名指しでほめなくても「3人の人が正しい姿勢で座っていますね」とほめることによって、全員が正しい姿勢で座ろうとします。
ただし、注意するときには、その子だけに聞こえるように配慮をしましょう。
達成感を持たせよう
授業中、目立たない子は意外に多くいます。その子たち一人ひとりが主役になれるような場を設定し、達成感を持たせると自信を持ち、活躍する場が広がります。活躍した時には、その子の努力を認め、みんなで拍手をするなどするとやる気が出てきます。
例えば、「○○さんは、昨日、8の段をたくさん練習しました。とてもよく覚えましたね。みんなで拍手!」というように、低学年では教師がリードするとよいでしょう。中学年では「○○さん、すごい!」といった子どもの声をとりあげて、「みんなが応援してくれたので○○さん、がんばりましたね」というようにすると、子どもの主体性が出てきます。
高学年では、「○○さんのよいところをあげましょう」というように、子ども同士がよいところを認め合うことによって、各人の達成感につながるでしょう。
タイミングを外さずに
言葉かけにはタイミングが大事です。机間巡視をするときは、タイミングを見つけるチャンスです。普段発言の少ない子のノートに丸をつけるなどして、「ここのところはとてもよい考えです。あとで発表をしましょう」というように発言をすすめておきます。
そうすると、子どもはほめられたうれしさで「発表しようかな」と前向きになるのです。また、いつもより丁寧に書いている、いつもより根気があるなど、いつものその子よりがんばっているところを逃さずに声かけするとよいでしょう。
目線を同じにしよう
全体を相手にするときにはよく見える位置に教師は立ちますが、個別に対応するときやグループでの助言には目線を同じにすると子どもに安心感が生まれます。机間巡視のときの個人の指導には、教師がしゃがんで、子どもの目線と合わせて言葉かけをすると、その子に助言が入りやすくなります。
特に低学年では目線を同じにするようにするとよいでしょう。また、グループで助言するときにも、グループの一員のようにしゃがんで話しかけると指導が入りやすくなるでしょう。