
国語科の教材研究は、自分が受け持つ児童・生徒の顔を思い浮かべながら、教科書を通読することから始めます。そして、教材文の気になった言葉をつなげ、教材文を図式化します。キーワードとなる言葉を見つけ、授業づくりをし、目標に沿った内容になっているか確認していきます。
教師にとって教材研究は欠かせません。教材研究のコツを知り、実際の授業に役立てましょう。授業時数の多い国語科を例にとって紹介していきます。
児童・生徒の顔を思い浮かべて通読する
国語科の教材研究は、教科書を通読することから始めます。そのとき、小学校ならクラスの児童たち、中高なら受け持っている生徒たちの顔を思い浮かべて読むようにします。目の前の児童・生徒の状態に合わせた教材研究が大切だからです。教材文を通読するときには、黙読したり、音読したり、文章を写しながら読んだりして、いろいろな読み方を教師自身があらかじめ経験しておくと、授業づくりに役立ちます。このとき、時間を計りながら通読します。実際の授業でどれくらいの時間がかかるかもこのときに確認できます。
児童・生徒の顔を思い浮かべるときには、特に読みの苦手な子を考えて読むようにするとよいでしょう。「この漢字は読めるだろうか」「この言葉の意味はわかるだろうか」「ここはおもしろいと思うだろうか」など、注意したい語句や取り上げたい言葉などを意識して読むようにします。
教材文を図式化する
教材文を詳しく読んだ後に、文章の気になったところをつなげていき、教材文を図式化します。たとえば、物語文なら登場人物、言葉の対比、風景の様子、登場人物の行動、主人公の心の変化、結末など。また、説明文も基本的には同じですが、問いに対する答え、答えの根拠になる言葉、文章の工夫など。教材文を見ながら気になる言葉に線を引いたり、言葉と言葉を関係づけたり、問いと答えをつなげたりして、教材文を図式化していきます。
キーワードを見つける
単元の目標に添って、教材を対比していきます。小学校の国語科を例にすると、登場人物の生き方について感想を伝え合うことが単元の目標なら、感想を伝え合うことが学習するポイントですから、「どのようにして感想を伝え合うことができるのか」をわかるようにすることが目当てになります。何を伝え合うのか、それは感想ですから、各自感想を持たせるようにします。そして、その内容としては、登場人物の生き方ですから、生き方を見つける必要があるのです。そのような学習内容と関連させて、目標に沿った部分を見つけていきます。
そのとき、合わせて単元のキーワードを見つけていきます。単元のキーワードを見つけるときには、初めて知ったこと、印象に残ったこと、題名や段落の中心になる言葉、くり返し出てくる言葉、登場人物の心情、場面の様子などに注目します。さらに題名からつながる言葉や挿絵につながるポイントなど、キーワードになる言葉を見つけ、そこから考えを広げていきます。
めざすものをしっかり持つ
教材文の図式化やキーワードとなる言葉から、授業計画を立て、1時間の授業がイメージできるようにします。そのとき、板書計画も合わせて考えておくとより具体的なイメージがわいていきます。それが目標に沿った内容になっているかを確認します。このように、目標に沿った緻密な授業づくりをすることによって、自信を持って授業に臨むことができるでしょう。