日本はどうする?プログラミング教育がもたらす社会へのインパクト

授業・生徒指導

プログラミング教育の必修化が話題となっています。政府は来るべき「第4次産業革命」に備えるためにプログラミング教育が必須であると捉えています。先行するイスラエルやイギリスなどのほか、アメリカなどでもプログラミング教育の導入が検討されており、世界の潮流になりつつあると言えそうです。

プログラミング教育がいま再び脚光を浴びています。以前は中学の「技術・家庭科」や「数学」、そして、高校の「情報」といった教科・科目で教えることが多かった内容ですが、近年では小学校での必修化が話題となっています。すべての人が将来プログラミングのスキルを必要とするようになるとは考えにくいにもかかわらず、なぜプログラミング教育の必修化が検討されているのでしょうか。その背景や目的について、お手本となるケースもあわせて見ていくことにしましょう。

なぜ小学校で必修化されるのか

政府は、「日本再興戦略2016」において、来るべき日本の将来において「今後の生産性革命を主導する最大の鍵」となるのは「IoT(Internet of Things)、ビッグデータ、人工知能、ロボット・センサーの技術的ブレークスルーを活用する『第4次産業革命』である」と述べています。そして、この「第4次産業革命」に備えて「日本の若者が第4次産業革命時代を生き抜き、主導できるよう、プログラミング教育を必修化するとともに、IT を活用して理解度に応じた個別化学習を導入する」としています。

つまり、プログラミング教育は、今まで以上にICT化が進展する世の中において、「機械を制御する力」がより必要となってくるとの考えから導入について検討されていると推測することができます。もっとも、まだ検討段階であり、導入が予定される2020年にはどのような形になっているかは明らかになっていません。現時点においては小学校においてプログラミング単独の教科が設定されるのではなく、理科や算数の授業などにプログラミングの内容が盛り込まれることが検討されています。

小学校1年生にプログラミング教育?

政府が検討しているプログラミング教育の先行事例として、なんと小学校1年生にプログラミングの授業を行っているところがあります。武雄市では、ソフトウェア会社や大学と連携し、一連の授業の終わりには画面上で児童が考えたキャラクターを動かせるようにするという研究授業がすでに実践されているのです。この授業では、プログラミングの知識を身につけるだけにとどまらず、「筋道を立てて考える力(論理的思考力)」、「構成を考える想像力」、「空間認識や距離感覚等の立体認識力」などを身につけることが目標とされています。これらの教育により、子どもたちは身の回りにある機械が「プログラミングされた内容を実行するために動いている」と正しく認識ができ、さらに興味を持って身の回りの機械について学ぼうとすることが期待されています。

プログラミング教育の導入は世界共通の流れ

年間90時間をコンピュータ教育に費やすイスラエルや、5歳からプログラミングの教育を行っているイギリスなど、海外でもプログラミング教育についての先行例が見られます。Skypeを生んだエストニアでは、小学校1年生からプログラミング教育が行えるように準備が進められており、マイクロソフトなども協力しています。

また、そのマイクロソフト本社があるアメリカでも、2016年にオバマ大統領がコンピュータ科学を学校教育の授業に組み込むための支援策である「Comupter Sience for All」を発表するなど、これらの流れは世界共通といえます。世の中にある多くのものはプログラミングによって動いていること、そして、そのプログラミングの基本的な考え方を身につけておくことは世界において今後ますます重要となっていくでしょう。

プログラミング教育について見てきました。昔と違って機械が「ブラックボックス化」している現状において、機械のしくみを理解するためにはプログラミングに関する理解が必須といえます。また、プログラミングは論理的思考力と密接に関わる内容であり、論理的思考力の育成のためにも役立つといえます。効果的な指導方法、また、指導のための教員のスキルアップ方法なども含め、今後も目が離せない分野です。

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