
聞き手の目を見て話す、聞き手の様子を見て話す、相手の目を見て聞く、よい姿勢で聞くなど、上手な話し方・上手な聞き方は、教師が指導して育てることが大切です。話す場面や聞く場面を意図的に増やし、具体的に教えます。相手を思いやることが話す・聞く活動に必要なことを伝えましょう。
自分の意見を話す、教師の話を聞く、友達の意見を聞くことは、生きる力を養う、考える力を育てるうえで大事なことです。話す・聞くは表裏一体の活動で、一体化して育てるようにするとよいでしょう。今回は、小学校の教育現場おける指導のあり方について考えていきます。
上手な話し方と上手な聞き方を指導する
上手な話し方や上手な聞き方は、子どもができるように教師が指導することが大切です。上手な話し方・上手な聞き方のポイントは次のとおりです。
上手な話し方のポイント
- 相手の目を見て話す。
- 相手に聞こえる声で話す。
- 文末まで丁寧に話す。
- 順序良く話す。
- 相手の様子を見て話す。
- 良い姿勢で話す。
- 相手の目を見て聞く。
- 最後まで黙って聞く。
- うなずきながら聞く。
- 口を閉じて聞く。
- 話し手に体を向けて聞く。
- 良い姿勢で聞く。
上手な聞き方のポイント
低学年のうちは、上手な話し方、上手な聞き方を教室に掲示しておくと子どもが話すとき・聞くときに心がけやすいでしょう。
具体的に話し方を教える
「しっかり話しなさい」と子どもに伝えても、話すことが苦手な子どもにはどのように話してよいかわかりません。具体的に話すことを指導することが大切です。低学年では話型を教えると話しやすいでしょう。「はい、~です」「私は~と思います。その理由は~」など、基本的な話型を指導します。また、中学年以上になると、短い一文をつなげるように話すとなにを伝えたいかわかりやすくなることを教えます。高学年では、意見を発表するときに「保留」「誤解」「確認」などの熟語を使うようにすると、言葉を覚え、表現力もより豊かになります。二文~三文以上で話すように訓練することも大切です。これによって論理的に話す訓練ができるからです。教師のまねをさせて覚えさせるようにすることも有効です。たとえば、はじめに結論を言ってから理由を言うといった文を、教師が模範を示します。そのとおりにまねをさせれば、クラスの子もその話型を覚えます。
意見を発表させるときには、ノートに自分の意見を書いてから発表させると、話すことに自信のない子も自信をもって発表することができます。また、話す機会を増やすことも大事です。授業の始めに、既習事項を問い、一斉に答えさせたり、朝の会や帰りの会に順番にスピーチをしたりすることもよいでしょう。
聞くときの約束事を決める
おしゃべりが止まらないなど聞くことができない子どもを無理に大声で制することは逆効果になりやすいでしょう。そのときには約束事を決めておくとよいでしょう。たとえば、「静かになるまで教師が待つ」「静かになるまで指でカウントする」「『静かに』と書いたカードを提示する」など、クラスに合った方法で穏やかに制するようにしましょう。また、子どもが聞くことに集中できる言葉かけをすることもよいでしょう。たとえば、「1回しか言いませんよ」「大事なことを3つ言います。指で数えながら聞きましょう」など。普段から、口頭で言ったことをノートに書かせる聴写を取り入れる方法もあります。授業中のほか、保護者への連絡を連絡帳に書かせるなど、機会をとらえて聴写をしてみてはいかがでしょう。
子どもの心を開く
話し方・聞き方の方法を指導しても、子どもの心が閉じていては積極的に話すことは難しいでしょう。教師の声かけや接し方で子どもの心を開くようにしましょう。発言をさりげなくほめたり、発言することを励ましたりすると子どもは自信を持って話すことができます。聞く場合は、ただ聞いて終わりではなく、聞いた人から意見や質問が出るようにうながしておきます。そうすることで、話し手と聞き手の心が通じ合うようになります。話すことも聞くことも相手を思いやる気持ちが大切です。相手を思いやって、話す、聞くことができるように温かい心を育てることも大事にしましょう。