
学園ドラマと呼ばれるテレビドラマには理想の教師が描かれています。現場で求められる理想の教師像も、その時代の教育問題に取り組んでいけるような資質が求められているのです。ドラマを参考にして、今求められる教師像とは何かを考えてみましょう。
ドラマの主人公の職業として、いつの時代にも人気があるのが教師です。それぞれの時代を代表する学園ドラマが作られ、社会的に大きなブームを招くことで、教育界にも影響を与えてきました。ドラマのなかにある教師の姿を読み解くことで、そのときに求められていた「理想の教師像」が見えてきます。教育問題が山積する現代では、どのような教師が求められているのでしょうか。そのヒントを探ってみます。
時代とともに移り変わるドラマの教師像
教師や生徒を主人公とする学園ドラマ。70年~80年代には、「3年B組金八先生」などに代表される、リアルな問題を扱う作品が増えていきます。進学や非行の問題など、当時の学校が抱えていた時事的なテーマを取り上げ、葛藤する生徒とそれに対応する教師たちの奮闘が描かれています。教師自身も学級で起こる問題に悩み、時には涙する場面もあります。人間らしい感情豊かな表現で、生徒のために精一杯の思いを伝える教師像が見えてきます。
近年では「GTO」「ごくせん」のように、一見教師とは思えないような人物が生徒をリードする作品が増えてきました。エンターテイメント性が強くなり、常識的ではない部分も多くありますが、生徒を守るためになりふりかまわず奔走する姿が印象に残ります。時代が進むにつれ、教育現場では非行や学級崩壊、いじめなどの問題が表面化し、マスコミでも毎日のようにさまざまな問題が報道されています。ドラマでは、それぞれの時代で課題となった教育問題を扱っており、より良い結果に導く教師の姿が描かれているようです。
文科省が求める理想の教師像
ドラマと同様に、実際に教育現場で起こる問題も時代によって変化がありました。理想の教師像は常に一定ではなく、それぞれの課題に向けた対応力が評価されるのではないでしょうか。時代とともに変わる理想の教師像は、ドラマの内容とともに、文科省から打ち出された施策や答申から読み取ることができます。
70年~80年代の学園ドラマからは、個性の発達に対応できるような教師像が見えてきます。対して、1971 年の「今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策について(答申)(第22回答申)」では、そうした個別の対応に向けて専門性が望まれる施策が述べられています。専門職として生徒が持つ個性について深く理解し、それぞれ個別の対応と判断ができる教師が求められた時代と言えるでしょう。
近年の例としては、平成17年の中央教育審議会答申「新しい時代の義務教育を創造する」において、優れた教師の条件要素として「教職に対する熱い情熱」、「教育の専門家としての確かな力量」、「総合的な人間力」の3つを挙げています。人間教育に関わる教師の責任の重さを改めて見直しながら、広く社会から信頼される教師が必要とされています。現代における保護者対応の難しさもあり、社会との関わり方までが評価されるのが、現代の教師像と言えるかもしれません。
これからの教師はどうあるべき?
平成27年8月、文科省教育課程企画特別部会は「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について」の論点を発表しました。これからの時代の教員に求められる資質能力として、従来必要とされてきた教員としての使命感、教育的愛情、教科や教職に関する専門的知識、実践的指導力、総合的人間力などの能力に加え、「キャリアステージに応じた資質能力を高める自律性」「情報を収集・選択・活用する能力や深く知識を構造化する力」「学校を取り巻く新たな教育課題に対応できる力量」が挙げられています。
キャリア教育、情報教育など、より専門性が求められる教育課題への取り組みや保護者への対応などに、個々ではなく周囲と協力し、チーム力を発揮できる教員が求められています。
理想の教師に近づくために、自己の研さんを!
教育に関する問題が多く取り上げられる現代では、教師に求められる力量も、多種多様です。ドラマの教師のように型破りなことはできませんが、その熱意ある姿勢は時代に関わらず常に求められているのではないでしょうか。さまざまな問題に目をそむけず、解決に導いていける教員となるために、自分磨きを続けられるように心がけたいものです。
参考: