
生徒の理解度を深めるためにも、教師には黒板を活用する「板書力」が求められます。色を使い分けることや図を使うことももちろんですが、ノートに写す生徒にノートの活用の仕方をしっかり指導することも大切です。どんな教科でも生徒にわかりやすい板書を心がけたいものです。
授業内容をわかりやすく伝えるためにも、黒板を使った進行が欠かせません。黒板に書かれた内容をノートにまとめることで、限られた時間で行われる授業を振り返ることができ、生徒側の理解が高まります。ただし、黒板の使い方次第で、生徒への伝わり方が異なる場合も。生徒たちの理解をより深めるためには、どのような黒板の使い方をすればよいのでしょうか?
どう黒板に書くかが大切!教師に求められる「板書力」とは?
教師が黒板に書く「板書(ばんしょ)」。教師が1コマごとに授業の構成を考えるとき、伝える内容はもちろんのこと、どのように板書するかを考えることはとても大切です。綿密な「板書計画」を行うことによって、授業がスムーズに進み、生徒への理解度も高まります。生徒は板書の内容によって、授業の流れを理解し、学習内容を整理しています。自分が授業構成をまとめるためだけでなく、生徒の考えを深めるためにも、板書への意識を高めることが重要なのです。
生徒にわかりやすい板書とは?
では、どのような板書が理想的でしょうか? 参考として、社会科における板書を考えてみましょう。
資料を参照し、生徒の理解と追究を求めるような社会科の授業では、1コマのなかで以下のような、3つの展開に分けられます。
【導入】生徒に授業の目的を設定する
【展開】授業の目的について資料をもとにした追究
【終結】授業の目的に対して追究した結果をまとめ、解決を促す
こうした流れをスムーズに行うためには、黒板へのまとめ方がより重要になります。まずは、板書のルールを決めて生徒に伝えておきましょう。例えば、導入において、その時間の目的を最初に大きな字で書くことを伝えておけば、授業内容のおおまかなポイントが伝わりやすくなります。展開、終結の段階では、視覚的に強調を伝えるためにも、大事な語句や出来事は赤や黄色などの色チョークを使って書くようにします。
同時に、生徒に質問して思考を促し、授業の目的に準じて学習を終えられるように流れを作るのも教師の役目です。授業で使用する教材研究の段階で、各場面で予想される生徒からの回答を想定し、前もって準備をしておく必要があります。授業の組み立てを行い、生徒にどんな質問(発問)をするか、質問に対しにどんな回答が欲しいか、教師側が求める答えも準備したうえで授業計画を立てましょう。生徒から予想外の答えがでた場合には、内容によっては、追加で書き込めるような板書スペースも考えて板書計画を練っておかなければなりません。加えて、黒板の状態がそのままノートに再現されるように意識しながら、社会や算数のような横書きであれば左から右へ、国語であれば縦書きにするといった意識も大切です。
ノートの使い方の指導も忘れずに!
板書がしっかりできたとしても、それをまとめる側の生徒がノートに写せていなかったり、書き込めなかったりしていれば、復習に役立ちません。そこで、意識したいのが「ノート作りの指導」です。生徒がただ写すだけでなく、そこに自分の考えや予習、復習などで調べたりわかったりした知識を書き込めるようなスペースを作るように指導しましょう。自身の意見をまとめられるスペースがあれば、より充実したノートができあがります。生徒が使うノートの左側数センチ部分をそのスペースにするようにあらかじめ伝えておいてもよいでしょう。ただ意見を書かせるだけでなく、ノートを提出させた際に教師側の考えや評価を書き加えると、さらに知識の定着が促せます。こうした反応があれば、生徒自身が自分でノートを作っていくことに積極的になるようです。
授業の理解度を深め、自主性を伸ばすためにもノートのまとめ方を伝えることは、教師にとっても大切な指導の一部と言えるのではないでしょうか。
黒板を制するものは授業を制する!
丁寧でわかりやすい板書、色使いを工夫した板書は、生徒が授業を理解するためにとても重要なことです。ただ生徒が発表した意見を黒板に書くだけでは1時間の学習の目的が何なのか、生徒には伝わりません。授業を考える教材研究の段階で板書計画を練り、事前に準備しておくことで、より生徒の理解を深める授業につながるのではないのでしょうか。生徒がノートを見直したときに何を学習したか一目でわかる板書ができれば、生徒の理解度アップにつながります。