
教師のスキルップのためには、教員免許更新講習の受講や私学の研修会、外部団体の講習などへの参加が考えられます。教員免許更新講習は義務的なものですが、せっかくならば興味に応じたものを選択すべきです。また、都道府県レベルの私学研修会や外部の講習・セミナーなどへの参加もふだんできないことができる点でスキルアップにつながると考えられます。
私学の教員になるためには、または教員になってからも、よりよい教育を行うためにはさまざまな方法で自らの腕を磨いていく必要があります。
自ら本を読んだり、学校内で行われる研修を受けたりするのはもちろんですが、学校外でもさまざまな取り組みが行われています。ここではそのうちのいくつかを紹介しますので、ぜひ自らのスキルアップに役立ててください。
教員免許更新講習について
教員免許更新講習は、教員が「最新の知識技能を身に付ける」ことを目的として2009年から導入された制度です。2008年度までの旧免許状と、2009年度以降の新免許状で状況は異なるのですが、教員免許更新が必要な人が期間満了までに教員免許更新講習を受講・修了しなかった場合、教壇に立てなくなるということは共通しています(くわしくは文部科学省のホームページをご確認ください)。
この教員免許更新講習では、前述したように最新の知識技能を身につけるために、2年間で30時間の講習を受講・修了する必要があります。内訳は「教職についての子どもの省察並びに子どもの変化、教育政策の動向及び学校の内外における連携協力についての理解に関する事項(必修領域)」が12時間、「教科指導・生徒指導その他教育の充実に関する事項(選択領域)」が18時間となっており、大学などで実施されています。
必修領域については私学の教員のための講習が独自に行われており、そちらを受講することも可能となっています。必修領域では学習指導要領の改訂内容などの講義が行われ、ふだん気になりながらもなかなか深く調べることのできない内容が取り扱われます。選択領域では専門教科の最新事情などについての講習が行われます。必修領域・選択領域とも、実施される免許更新講習のなかから自分の教科や興味に応じて選ぶことができます。
教員免許更新講習は教員として仕事をしていくためには必要不可欠な義務といえるものですが、貴重な学ぶ機会ととらえて、せっかくならば最新の学説や研究内容に関わるものなど、その後の自分の授業や生徒への進路指導に役立つ講習を選択したいところです。
教員免許更新講習は土日や長期休みに実施されることが多いのですが、自分の興味だけでなく、学校行事などとの兼ね合いにも注意して慎重に選択することが求められます。日程的に厳しい場合はインターネットなどを利用する教員免許更新講習を選択することも考えられます。
各都道府県で実施される私立学校の研修会など
都道府県や教科・科目によってさまざまになってしまうのですが、都道府県単位などで私立学校の研修会が実施されているケースがあります。代表的なものとして授業見学などが行われています。科目の授業見学やその後の検討会などへの参加は、授業の内容を知ることができるのは言うに及ばず、生徒の反応も見られることができる点、また参加されている教員の方々と意見交換ができる点などで自らのスキルアップのために非常に有用であるといえます。
長期休みには宿泊研修が実施されているところもあり、個人ではなかなか許可されない施設の見学などを実施している場合もあります。なお、これも都道府県や教科などによって事情が異なりますが、公立学校が主催する各種の研修会へ参加できることもあります。これらも刺激を受けることのできるいい機会であると言えます。
予備校や外部団体が実施する講習など
近年では長期休みを中心に、予備校などが主催して教員向けの講習などが実施されています。自らの専門教科について、予備校講師の講義を受けてみることで、自分の授業へのヒントとなることもあります。また、各種の団体が教員を対象としたセミナーを実施することも多くなっています。これらのセミナーでは授業の実践例の報告や、講師による講義などが行われることが多く、こちらも専門教科と関わるものについて受講することがスキルップにつながると考えられます。
ここまで教師のスキルアップの方法について見てきました。講習を受けただけで直ちにスキルアップにつながるわけではありませんが、自分で教材研究をしているだけではわからない事柄を知るために、外部で実施されているさまざまな講習を受けることについてもぜひ検討してほしいと思います。