教員に必要な救急救命の技術と知識について

授業・生徒指導

決して起こって欲しいことではありませんが、学校内での突然死事故のうち約7割が心臓系の疾患によるものです。これは現在普及率の高まっているAED(除細動器)を使用することで救命できる可能性が大きく高まります。機会を見つけて救命講習を受講し、いざというときに落ち着いて対処できる心構えを身に付けたいものです。

学校は数多くの生徒が集まって生活する場です。日々平穏に暮らせることがもちろん理想ですが、突発的な事故が起こらないとも限りません。校内で何らかの非常事態が発生した場合、対処の最前線に立つのは教師です。ケースによっては、生徒の生命を救えるかどうかの瀬戸際になるかもしれません。
そんなときに慌てないよう、また後悔するような結果を決して残さないよう、普段からの心構えが大切です。ここでは、最近普及が進んでいるAED(Automated External Defibrillator、自動体外式除細動器)を中心に考えてみましょう。

学校を含むさまざまな施設にAEDが設置

心臓を原因とした突然死は、誰にも起こり得ることだと言われています。平成26年には、全国で25,255件の心肺機能停止事故が報告されています。何らかの原因で心臓がけいれんを起こしている状態を心室細動と呼びますが、そのまま放置していると、救命の可能性が1分ごとに約10%ずつ低下してしまうと言います。一般的に、通報から救急車の到着までは8分程度を要すると言われていますが、通報が遅れた場合や、交通状況が悪いなどの条件が重なった場合、救急隊の到着を待っていては間に合わなくなる可能性もあるのです。
近年、AEDの登場により一般市民でもその場で応急処置を行い、救命の可能性を高めることができるようになりました。現在では駅や市役所、大型商業施設など、多くの人が集まる場所では必ずと言っていいほどAEDを見かけるようになってきています。小規模な施設でもAED内蔵の自動販売機などを置いてあることもあり、普及率は年々上昇していると言えるでしょう。もちろん学校も例外ではなく、AEDの設置は全国的に進んでおり、高等学校での設置率は、平成21年の段階ですでに98%に達していました。平成28年現在ではほぼすべての高校に設置されていると考えられます。

普段の学校生活のなかで救急救命が必要になる可能性も!

平成23年、小学6年生女子が長距離走後に心停止状態となり、救助が間に合わずに亡くなるという痛ましい事故がありました。そのほかにも胸部への衝撃(ボールが直撃するなど)により心停止となるという事故も起こっています。統計によれば、学校管理下での突然死のうち、約71%の原因が心臓系の疾患となっています。学校種別に見ると高校が最も発生率が高く、またそれは先天性の異常が確認されていない生徒にも起こっているとのことです。授業や行事、部活動など、学校現場での心停止事故は決して他人事ではなく、教師側も万が一に備える心構えが必須であると言えます。

教員向け救命講習などを利用して緊急時に備えよう!

全国的な統計によると、AEDの普及活動に伴い、心停止事故が起こったときに一般市民が救命活動を行った件数も年々増えています。AEDの取り扱いはごく簡単で、電気ショックが必要かどうかの判断も機械が自動で行います。実際に取り扱う訓練を受けていれば、現実の事故に直面した場合も、落ち着いて対処できる可能性が大きく高まります。
一般に、赤十字社や市などの地方公共団体が主催する講習も行われていますが、学校で講師を招いて救命講習会を実施する場合もあります。教職員向けのもの、また行事扱いで生徒と一緒に行うものなど実施形態もさまざまですが、機会があれば積極的に参加すべきです。生徒と一緒の場合は、生命の大切さについて教えるチャンスでもあります。多くの場合、AEDを使用した訓練と同時に人工呼吸や心臓マッサージなどの実習も行われます。
もし心停止が起こっても、3分以内にAEDによる処置ができれば、生存して退院できる確率は70%にもなると言います。平成19年、高校野球の試合中に、投手の生徒が胸に打球を受けて心停止状態になった事故が起こりましたが、このときはAEDを使用した後に生徒は意識を回復し、救急車の到着時には会話ができるまでになっていたそうです。決して起こって欲しいことではありませんが、生徒の生命の危機に際しては適切な行動ができる教師でありたいものです。

参考: