「反転学習」導入で教員の役割はどう変わる?

授業・生徒指導

家庭で基礎的な内容を学習し、学校の授業では踏み込んだ内容を学習するという反転学習が注目されています。事前の準備の大変さや、デジタル・デバイド(情報格差)などの問題がありますが、成功すれば、生徒の家庭での学習時間を確保した上で、学校では従来よりも密度の高い学習を行えます。インフラの整備次第で、さらなる発展の可能性を秘めた学習形態です。

反転学習とは?

反転学習とは、反転授業ともいいます。生徒が家庭において、あらかじめ教員が用意した講義の映像などを用いて基本事項を学習し、学校の授業ではより詳しい説明やグループでの協同学習を中心に行う学習形式を指します。反転学習を行うにあたっては、生徒一人ひとりの家庭に映像を見るためのデバイスや、インターネット環境が必要です。

反転学習のメリット

まず、家庭での学習についてですが、生徒は一度聞いただけでは理解できなかったところを、動画を巻き戻して何度でも繰り返し学習することができます。授業中に何度も先生に質問することをためらう生徒でも、映像授業では納得がいくまで自分のペースで理解を深めることができるのです。また、通常の授業では説明のあとに演習を行って理解度を確認しますが、反転学習の場合は授業中に説明を行う必要がないため、すぐに演習を行えます。教員は、内容の理解でつまずいている生徒をすぐに見つけ、重点的に指導できます。授業の早い段階で生徒がつまずいているポイントに気づけるのは教員にとって大きなメリットであるといえますし、家庭での学習時間を確保できる点でも有効です。

反転学習のデメリット

反転学習における家庭での学習には、インターネット上の映像を用いることが多くなっています。これらを利用する場合は、家庭でインターネットに接続できる環境が整っている必要があり、いわゆる、デジタル・デバイド(情報格差)が生じる可能性があります。なお、この問題を解消するために、北海道教育大学附属函館中学校では、生徒一人ひとりに配布されているタブレットに、生徒が学校内で授業の映像をダウンロードしておき、家庭でタブレットを利用して授業を試聴するという方法がとられています。学校内にWi-Fi環境を用意しておくことで、それぞれの家庭からインターネットへの接続ができなかったとしても、すべての生徒が映像にアクセスできるというわけです。また、パソコンやタブレットを利用して学習を行うことに対するご家庭での理解が不可欠であることはいうまでもありません。これらの機器を使って遊んでいるわけではなく、あくまで学習目的の利用であることを周知する必要があります。このほかに、何らかの事情で事前に家庭での学習ができなかった場合、学校の授業に参加しづらくなるという問題や、教員による映像授業の準備に時間がかかるといった問題も指摘されています。

 

見てきたとおり、反転学習は非常に新しい考え方です。教員が事前に授業を録画したり、ファイルをアップロードしたりしなければならないという準備の大変さや、全員が通信できる環境を確保しなければならないことなどが反転学習の普及の大きなハードルとなることが考えられます。しかし、今後はICT教育の普及とも相まって今以上に発展する可能性を秘めた学習形態であるといえます。そして反転学習が広がれば授業の内容が大きく変わるわけですから、教員に求められる役割も今までとは異なったものになると考えられます。

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